組織のコンサルを行っていると360度評価を努力して導入したのに大失敗してしまったという事例を多くみかけます。そして失敗のケースには共通点があるのです。
360度評価を実施する際に失敗を避けるためにも他社の失敗事例から学ぶことは不可欠です。
このページではよくある360度評価の失敗ケースと失敗の原因についてお伝えしていきます。
360度評価の失敗:フィードバックで失敗
1番多い失敗のポイントは「フィードバック」です。360度チェックは他人からどう思われているか?ダイレクトな意見が数字で反映されるので特にはじめは深く傷つくメンバーがでてきます。
そして傷ついたメンバーや恐れを感じたメンバーがこの評価制度に強く反発することで制度自体が失敗に終わるケースがとても多いのです。
結果をただ書面で配るだけなど雑なフィードバックはもってのほかです。どのようにフィードバックをするとメンバーを傷つけずに成長につなげることができるのかをしっかりと考慮した上でフィードバックを実施していくことが成功の鍵となります。
雑なフィードバック→反発につながり失敗する
質の高いフィードバック→成長につながり成功する
360度評価のフィードバックでの失敗を防ぐためのポイントは2点だけです。徹底して気をつけましょう
・成長に繋がるフィードバック
フィードバックのロープレを役職者で徹底する
360度評価を初めたばかりなのにフィードバックをそれぞれのマネージャーに任せっきり。この状況では360度評価制度は失敗に終わる可能性が非常に高いです。
事前にどのようなフィードバック内容にしていくのかの決定とフィードバックロープレによる徹底した事前準備がとても重要なのです。
フィードバックは「強みを7割」「弱みを3割」
360度評価のフィードバックの内容は大きく2つの内容になります
・弱みを克服する
360度評価のフィードバックの失敗事例で多いのは「弱みの克服を重視したフィードバック」です。
360度評価の結果を受けたメンバーはイヤでも自分の結果で悪かった部分を気にして傷つく傾向にあります。そんな心境の中で更に上司から弱みばかりをフィードバックで詰められたら心のダメージはとても大きくなります。
フィードバックで心のダメージを与えすぎると「深く傷つく」「制度に反発する」といった現象が起こり制度自体の失敗につながります。
なのでフィードバックの内容に関しては以下を比率を徹底するという共通認識を持つことが重要だと考えます。
強みを褒めて伸ばす内容のフィードバック→70%〜80%
弱みを成長につなげるためのフィードバック→20%〜30%
とくに制度をはじめたばかりの組織は強みを褒めて伸ばすためのフィードバックに重きを置くことをオススメします。
基本的には強みを伸ばすための制度であると言うことをしっかりとフィードバックの冒頭で伝えていくことも有効です。
360度評価の失敗:実施内容の説明で失敗
前の項目でも説明した通り360度評価制度の失敗は他人から自分の悪い部分をダイレクトに指摘される恐怖が反発につながり失敗するケースが大半です
なので初めて360度評価の実施をする場合は特に事前説明が大切になるのです。
基本的には以下のスタンスの内容に重点を置いた事前説明をオススメします。
・極端に低い評価などは除外して判断
・他メンバーからの評価は成長のチャンス
・基本的に人事評価には繋げて考えない
→あくまでも成長のキッカケのための指標
など、低い評価や不公平な評価へのメンバーの恐怖や反発を想定してヘッジする内容の丁寧な説明が失敗を避けるカギとなります。
継続しない可能性をしっかりと告知する
360度評価は実施してスムーズに継続できない場合も多いのが現状です。実施内容の変更や項目内容の変更、実施タイミングの変更など最初から継続が確実にできるかわかりません。
なのでスタートの説明の際は実施を継続するかわからないことや内容が変更される可能性があることなどをしっかりと説明しておくことも大切です。
360度評価の失敗:実施フローや管理で失敗
他人への評価を実施する制度なので評価内容の取り扱いや実施のフローはとても繊細です。
担当者や評価の回収からフィードバックまでどのような流れで行うのかをしっかりと事前準備することが重要となります。
優秀な担当者(代表か役員)が最初は管理する
実質的に管理者は全ての評価内容をみることができるので、信頼ある人物が担当しないとメンバーからの反発がでてきてしまいます。
また、複数人で管理すると自分の評価が多くの人に見られると思われ正確な評価を集めることができなくなる場合があります。
特に最初は代表や信頼のある役員が管理するなど最新の注意を払いましょう。また、360度評価の無料や有料のツールもあるので利用することもオススメです。
センシティブな評価内容となるのでエクセルをメールでやりとりするなどは危険性があるかもしれません。
360度評価の失敗のまとめ
ほとんどの失敗のケースは上記の内容「フィードバック」「事前の説明」「制度の運用管理」に集約されます。
逆に言うとこの3つの失敗を克服すれば成功率は飛躍的に高まります。
・事前説明をしっかりと実施する
・運用管理の体制をつくりこむ
メンバーの恐怖や反発をしっかりと想定することがなによりも大切です。そして素直に評価を受け止めて成長につなげることが360度制度の大きな目的です。
この目的を忘れることなく制度を実施していきましょう。
360度評価制度(多面制度)実施の具体的な流れは以下のページで詳しく説明をしております。