自分自身のスキルとしても、組織のスキルとしてもとても重要なスキルが「アンガーマネジメント」です。
アンガーマネジメントの意味は「怒りとうまく付き合うためのスキル」です。
一般的に、怒りを無理やり消し去り、いつも笑って過ごすためのスキルと勘違いをされますが、それは間違いです。
無理に怒りを押さえつけるのではなく、怒りの根幹を理解してどのように対応するのが最適なのかを理解して実践できるようになるためのスキルです。
アンガーマネジメント=怒りとうまく付き合うスキル❌
弊社多くの研修実績をベースにここでは「社内でもできるアンガーマネジメント研修の方法」について説明をしていきます。
目次
アンガーマネジメントの2つの基礎
組織が崩壊する最も大きな要因は「人間関係」です。人間関係がもとで社内の連携がうまくいかなくなり、お客様のことよりも社内のケンカ相手をどうにかすることに集中してしまい組織の競争力が落ちていくのです。
そしてこの人間関係を悪化させる大きな原因が「怒り」なのです。
個人の怒りが増加
↓
社内で敵対関係
↓
人間関係が悪化
↓
競争力の低下
↓
組織全体の崩壊
この大きな連鎖の大元は個人の「怒り」なのです。
「怒りへの適切な対応」すなわちアンガーマネジメントがしっかりと組織のスキルとして根差していればメンバー間の対立や部署間の対立は食い止めることができるのです。
アンガーマネジメントにおいて最も重要なポイントは2点です、最も大きな効果を生むことができるこの2点の深い理解と実践能力をアンガーマネジメント研修の軸とすることをお勧めします。
・怒りの原因を突き止めて理解する
・怒りを適切にアウトプット
怒りを無闇に消そうとしてはいけませんし、我慢することもお勧めしません。怒りは無理やり忘れようとして一度消えたと思っても残っているものですし、消化できずに我慢していると時間と共に巨大化していく性質があるからです。
怒りを消す・怒りの我慢
▼
怒りが巨大化して大爆発
・怒りは我慢してはいけない
上記を念頭において、怒りと向かい合いながら付き合っていく必要があるのです。「怒りの理解」「適切にアウトプット」ができるようになれば怒りから火花が散ることはなくなっていくのです。
怒りの火花を散らさないための2ステップ
怒りを理解する
▼
適切にアウトプット
・怒りの原因を突き止めて理解する
研修では怒りを感じた時に1番にやることを実践を交えて練習していきます。怒りを感じたらすぐに反応することを止めて、瞬時にノートに感情を書いていきます。
怒りを感じる
↓
その場で爆発
怒りを感じる
↓
その場を離れる
↓
ノートに感情を書き殴る
ノートに書く内容は大きく3点です。 思いついたことをガンガン書き殴りしていきます。
ノートにまとめる3つの内容
- 現在の感情の状態
- 何故その感情が生まれたのか?
- 誰が原因なのか(勘違いの可能性も同時に)
「現在の感情の状態の記入」
感覚で構いません。 「絶対に許せない」「なんで自分があんなことを言われるのか理解できない」「感情的に好きになれない」「もうこのプロジェクトはやめたい」など、感覚的で構いませんので、ガンガン記入していきます。
「何故その感情が生まれたのか?」
自分の中で、何故今回このような怒りの感情が生まれてきたのかのプロセスをしっかりとノートに書いていきます。「一生懸命やってるのに認められなかったことが怒りにつながった。」「自分のことをバカにされていると感じたので怒りが沸いた」など、より具体的に怒りが生まれたきっかけを考えていきます。
「誰が原因なのか?」
原因になり得る全ての人物の名前を書いていきます。そしてそれぞれの人間のどんな行動や考えが怒りを生み出す原因になったのかを考えていきます。この時、勘違いの可能性も必ずノートに書き残すことがポイントです。
「田中さんの心ない発言が原因で、私の能力をみんなの前でバカにされたと感じて怒りが生まれた」
「勘違いの可能性としては田中さんはそんなつもりはなく、冗談のつもりでいったのかもしれない」
上記のように、感情とそれにまつわる原因や勘違いの可能性を特定して文章にしていきます。このプロセスを実際に研修で練習するのです(もちろん個人でも実施可能です)。
・怒りを適切にアウトプット
次に怒りを適切にアウトプットする練習です。前述のノートに怒りの内容を書き残すことで、よくあるパターン(怒る→爆発)は食い止めることができます。
テキスト化して落ち着いたあとは、アウトプットです。
もちろんテキスト化だけで100%怒りが収まればアウトプットの必要はありません。しかしながら、多くの場合では怒りが完全に消えない限りまた、怒りの火種が時間と共にメラメラと燃えはじめます。
アウトプットの方法は簡単です。決めつけずに冷静に事実を確認することと、冷静に自分の気持ちを伝えることです。
冷静に喋る
気持ちを伝える
この3点ができていれば怒りの火の粉が燃えることはほとんどありません。
「田中さん、少しお話の時間をいただいてもいいですか?」
「実は田中さんの昨日の発言で自分のやっている仕事の内容を馬鹿にされたものと感じてしまって、自分の中でショックを受けてしまっていました。」
「馬鹿にされたと思ったのはあくまでも私の主観なので、どんな観点で昨日の発言をされたのかを教えていただけませんか?」
このような言葉を「100%冷静に、決めつけず、正直に」アウトプットするのです。
怒りの原因や勘違いの可能性を全て認識した上で、冷静に問い掛ければ怒りは前進するための会話に変わるのです。
怒 り
↓
分 析
↓
冷 静
↓
会 話
↓
成 長
理解と社内研修で組織に浸透させよう
このプロセスを社内の研修や教育、個人の練習に取り入れることで、怒りは成長のキッカケとなっていきます。
上記のアンガーマネジメントを研修で実践する時のプロセスを説明します。
研修のプロセス
- よくある怒りのパターンを想定してロープレ
- (他部門からの心ない対応など)
- その場で怒りを爆発させずにノートを作る
- 対象の相手との会話をロープレ
この一連の流れをペアで行い、お互いで振り返りやアドバイスを実施していく流れとなります。
新人教育のみならず社長や役員にも切れやすい人物はいるはずです。
組織全体(階層別)にこの研修を実施していくことを強くお勧めまします。
アンガーマネジメントのメリット
アンガーマネジメント研修を実施していくことで、セクション間の摩擦や人間関係の悪化によるとてももったいない(かつ面倒くさい)問題から解放されることが可能です。
怒りを克服することのメリットは計り知れません。
・組織の運営がスムーズに
マネージャーが最も手を焼くタスクの一つが人間関係の悪化への対応です。
前述でも説明した通り、人間関係悪化の大きな根本原因は「怒り」です。バトルが勃発する前に怒りのコントロールの方法を教育しましょう。
AさんとBさんがぶつかった時に怒りに火をつけたほうに問題があるという意識になることが多いですが、「どのような理由があれど怒りをコントロールできない人間のビジネススキルが低い。」という基本的な考えをアンガーマネジメント研修で浸透させることが可能です。
・助け合いの風土が生まれる
摩擦が起こってもしっかりと話し合いができる組織は部門間の連携が強いものとなります。
怒りを我慢したり爆発させることが多い組織は部門間の本質的な会話と理解が以上に少ない状況になってしまいます
怒りを「話し合い」「成長のキッカケ」に転化することができる力をこの研修は兼ね備えています。
・「離職率の低下」と「採用力の強化」
喧嘩が少なく、大人な会話ができている組織の職場環境はとても良いものです。また、お互いの勘違いから始まった大喧嘩で優秀な人物が辞めてしまうことなどもなくなります。
怒りを克服した組織は働き手にとってもとても魅力的なものになり採用力の強化や離職率の低下に大きく寄与するのです。
まとめ
アンガーマネジメントとは「怒りとうまく付き合うためのスキル」です。以下のポイントを抑えて社内教育に組み込んでいきましょう。
・怒りの原因を突き止めて理解する
・怒りを適切にアウトプット
怒りの火花を散らさないための2ステップ
ステップ
怒りを理解する
ステップ
適切にアウトプット
マネジメントの大きなポイントは円滑な人間関係をつくり上げることです。その中で「怒り」は大きな影響力を持ちます。
しかしながら「怒りとの付き合い方」は誰からも教わりません。
アンガーマネジメント研修がしっかりと自社の教育の一環として組み込まれた日には、下らない争いが激減し組織の成長速度は確実に上がっていきます。
よくある怒りのパターンを想定してロープレ
(他部門からの心ない対応など)
↓
その場で怒りを爆発させずにノートを作成
↓
対象の相手との会話をロープレ
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